マリの毎日
マリのラケットは見事に空を切りました。


「ふっ……」


かすかに聞こえた笑いは相手チームからのもの。

気合いでレシーブをしようとしたマリでしたが、見事な空振り。


「ちょっとマリっ! 何やってんの!? 2ポイント目はとられるし、笑われるし……私まで恥ずかしいわ」

「ごめんごめん……ちょっとりきみすぎちゃった」


と、殊勝な態度に見せかけて。


(べーっだ! ルイコだってミスってるじゃんっ! むかつくっ!)


試合になって仲間割れとかありえないんですけどね。特にダブルスでは。

にしてもべーって。言葉でべーって。


「2-0」


高めの声の審判がコールをして、点数を告げられます。


「ルイコ、ちゃんととってよ!」

「わかってるわよ!」


ばこーん!


「くっ……!」


圧倒的な力に気圧されつつも、ルイコはなんとかボールをロブで返しました。

浮いたボールはすぐに姫に捉えられ、力強いストレートでマリルイのコートへ返ってきます。


「えっ!?」


声とか出してる場合じゃないんですけど。マリがボレーをしようとラケットを出した時には既にボールは空いたスペースへ。

強さのためにボールは大きくバウンドし、なんとかそれを後衛のルイコが拾いましたが、すぐさま某子にスマッシュを決められあっさりと1点を失います。


「3-0。サーバーポイント」


1ゲームは4点マッチ。5ゲームの試合なので3ゲーム先取で勝利。このゲームをおとしたからと言って、挽回は可能なのですがこの力に勝てるのでしょうか。
< 45 / 86 >

この作品をシェア

pagetop