マリの毎日
やがて帰らなければいけない時間になりました。


「ワリ、そろそろ歌い終わんなさいよ」


なんとなんと、ワリくんはまだ歌い続けていたご様子。

まさかワリ1人のオンステージをルイコは延々と聞いていたのでしょうか。不憫です。


「んあー? おー……帰るか」


さんざん歌い散らし、さすがにもう十分満足したことでしょう。


「マリ、ヨシくん……」


ルイコがそっと2人を揺さぶり起こし、料金を払って外へ出ました。




夜空には満天の星。

中学生何時までカラオケやってんのって突っ込みはなしで。田舎だから夜になるの早いんですってことにします。


マリはその中に一際明るく輝く星を見つけて言いました。


「終わった、ね……」


ぎこちなく微笑みを向けた先のルイコは、少し今までよりも大人びた顔つきをしていました。


「……何言ってるのよ。これからじゃない。今はまだまだってことがわかっただけ。これから頑張るのよ。4人で」


ルイコが振り向くと、ヨシとワリは示し合わせたかのように、穏やかな微笑みを浮かべていました。


「そ。ルイコの言う通り、これからだろ」

「そうだね……!」


マリは手の甲で潤んだ瞳を拭いました。



前を向いて、4人で走り出します。



マリの青春の毎日は、まだまだ始まったばかり――――。












{とりあえず【完】}

→あとがき的なもの
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