マリの毎日
ルイコは未だ気がつかずに服を見ていました。


「ねえマリ、これ可愛くない?」


当然ながら返事はありません。


「マリ聞いてんの? 応答なし?」


応答って。


「あれ!? ほんとにいない! ちょっとマリ! どこよっ!」


ルイコは振り返って辺りを見渡しました。独り言、でかいよ。


「あの子、どこ行っちゃったのかしらっ!」


ちょっとぷんすかした後、ルイコはほっとくことにしました。どーせ腹減ったら戻ってくんだろ的な感じで。

しばらく服を見ていましたが、30分経ってもマリは帰って来ません。
さすがにルイコも少し心配になり、マリに電話をかけてみました。


「もしもし――?」

『はあーい!』

「ちょっとマリ! 何だってのよ! 今どこ?」

『ああ、ちょっと喉渇いたから、3階の自販機にいるよ!』

「そう、じゃ、今から行くわね」

『おっけー』


ルイコは素直に信じ、自販機を見た覚えのある方へ歩いて行きました。

あんまり飲み物を買って戻って来るまでに、何十分とかかかったりしないだろということに気づかないまま。



一方こちらでは。


「おい! ヨシ、今どこにいんだよ!」

『わりー。喉渇いたから3階の自販機前にいる』

「そうか。じゃ、俺も行くわ」

『おう』


男組の方もなんとか成功した様子。


ですが、このひとたちはまた重大なるミスをおかしてしまっていたのです。

自販機、普通1フロアに1つじゃありませんよね。

運がよければ会えるかもしれませんが、かなりの低確率です。
そこちゃんと見とこうよ、マリ。
< 57 / 86 >

この作品をシェア

pagetop