マリの毎日
「うん。よかったねルイコ!」


またわからないのかおばか。おーばか。うましかものめ。


「あんっったねえ! せっかくわたしがワリにちくかま渡して『ごめんね、ちくわも好きになるからもう一回つきあって』とかなんとか言おうと思ってたのに!」

「だってえ、今日9日だったんだもおん」

「んなことわかってたっつーのよ」

「わかってたの!? なあーんだ。ってゆーかルイコ、う・し・ろ」

「はあ?」


ルイコは振り向き、マリの視線の先を追います。あらやだなんだか整った顔……ん? んん? ……ワリ!


「うええええっ!」


驚きのあまり奇声が。

そうですよ。そらそーですよ。ルイコはお忘れのようですが、ワリくんはそらもう至近距離にいらっしゃったんですね。


「ワリっ……えーっと、今の聞こえてた……?」


万が一聞こえてなかったらどこか耳鼻科を紹介してあげましょうね。


「っ……あーっと……」


あからさまに困り顔のワリくん。


(どーしてこいつに邪魔されなきゃなんないのよっ)


とか思ってるルイコ。

ワリの顔は引きつるばかりです。


「……る……から……」

「え?」

「じゃあ、俺も、かまぼこ好きになるから!」

「……ワリっ……」


何だか急に、ルイコの瞳に溢れんばかりの涙がこみ上げてきました。
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