マリの毎日
「ごめんねっ……あれ、食べさせてあげたかったけど……パタが食べちゃったから……っ……」

「犬って練り物食べるんだねー」

「あの……チョコは、やっぱり14日に渡すね! これはおやつとしてとっといて!」


なんだか初々しくなっちゃって、しかもマリの突っ込みというこの物語上欠かせない役をもさりげなく放棄しちゃってKYコメントを華麗にスルーした、乙女ルイコは、顔を赤らめワリにチョコレートを渡しました。


「マリ、なんとなくありがと」

「え……? ええっと……うん!」


こんなに乙女すぎるルイコはマリも見たことがなくて若干のとまどい。

しかし、頬を赤らめ目を輝かせ、ワリを見つめているルイコを見ていると、マリも自然に微笑んでしまっているのでした。


「ルイコ、おめでと」

「やあーだあー。まだつきあってるわけじゃないんだからあー」


つきあうご予定の相手目前にしてこの台詞。
ワリの方も、満更でもない様子です。


いきなりですが、しっとりした感じにまとまろうとしている予感がしてきました。


「ヨシくーん!」


遠くの方から、ヨシくんもパタのリードを持ってかけつけます。


「おーなんだお前ら、うまくいったのか」

「まだなんだってー」


あくまでも、つきあう予定、で通す気らしいですね。


「ワリ、14日、またここに来てね」

「わかった。……ルイコ」


ワリの瞳に、いつになく真剣な色が浮かびます。
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