恋色涙~君たちの恋~
大事にするよ。

 時は進み、隼人先輩たちの……こうたの卒業式。

 私たちが別れて二年がたった。

 もちろんかなみは優しく受け止めてくれた。

 こうたとはあの日以来いちども話していない。

 ときたまこうたを見つけるがこうたはこちらを見てくれなかった。

 前よりもおとなしくなったこうたは、女子からの人気もより高くなった。

 「神田こうた。」

 「はい!」
 
 あ、こうた。

 こうたが校長から賞状をもらい歩……

 回れ右をした!?

 こ、これは!?

 「神田!す、すすめ!」

 先生たちもパニクってる。

 な、なにやってんのこうた!?

 そのとき、パンパンという手をたたく音がきこえた。

 体育館中が沈黙した。

 手をたたいたのは

 「は、はやと!?」

 後ろの席のかなみが声をだした。

 隼人先輩はステージにのぼり、校長に一礼しマイクを握った。

 「え、あ~聞こえるかな?うーんおっけい。こうたからの告白があるので聞いてやって下さい。」

 そう言ってこうたにマイクを渡す。

 が先生たちも黙っていられずにステージにのぼりだす。

 だがそれを校長がとめた。

 「まあ、いいじゃないか。親の前で告白する自信はすごく良いと思う。温かい目で見守ってやらんか?」

 校長がそういうと先生たちは引き下がった。

 と、同時にこうたが口を開いた。

 「あ、えー大事な式の日にこんなことをして誠に申し訳ありません。でも、ここで言わなきゃいけないほど大事な告白なんです。」

 そう言ってこうたは息を吸った。

 「さよ!いたらステージにきて?」

 いきなり名前を呼ばれびっくりした。

 周りのこたちに行きな!と言われてやむえなくステージにのぼった。

 ステージの上は会場の全員が見えてとても恥ずかしい。

 「さよこっち向いて。俺あの日からずっと考えた。さよをずっと苦しめてきたこととか。でも、この間やっとわかった。遅くなってごめん。これからもっとさよを大事にする。また、もう一度俺と付き合って下さい!!!!!!」

 こうたは私に向かって頭を下げる。

 私は嬉しさが込み上げてきて泣きそうだった。

 「も…もちろんです。こちらこそ…お願いします!」

 私が思い言うとこうたが優しく私を包み込んだ。

 会場からは大きな歓声がきこえた。

 耳元でこうたがこっそり囁いた。

 「もう…二度と手放さないから。」

 私の恋に染まった涙がこうたの制服にたくさん落ちた。 

  
               END 
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