恋じゃなくてもイイですか?
私より先に社会人になった先輩。
学生と社会人では、時間が合わなくなり、会うことが難しくなっていった。
このまま私たち終わっちゃうのかな?仕事が忙しいと先輩と連絡が取れなくなると、不安が押し寄せてきた。
「仕事にもだいぶ慣れて来たし、奏多となかなか会えないし、どうせなら一緒に住むか?」
その不安を打ち消す一言をくれたのも彼だった。
両親には「友達と一緒にシェアハウスに住むことにした」「親族でもシェアハウスには入居者以外の人は入れちゃいけないんだって」と嘘を重ねた。
大学生の娘が男と同棲とか、古いタイプの両親が許してくれるはずがなかったからだ。
幸か不幸か、両親はその嘘を未だに信じてくれている。
もともと実家に帰るには、飛行機に乗らないといけない位に遠いし、ちょっとやそっとのことで、自営業の両親が遠方に住む私の所に訪ねて来るなんてことはないのだ。
彼と同棲を始めて、2年。
私も社会人になり、毎朝起きて、隣に彼が寝ていることが当たり前になっていた。
一緒に暮らし始めることは、楽しいことばかりじゃないけれど、彼を好きな気持ちは変わらない。
彼の服を洗濯したり、彼のために料理を作ったり、2人の未来へと続くであろう日々の積み重ねが、今の私にとって全てなのだ。
社会人1年目は、新しい生活環境に慣れるのに精一杯だった。
弱音も愚痴も彼は受け止めてくれた。