恋じゃなくてもイイですか?


シャワーを浴びているのだろうか?水の流れる音がした。


脱衣所には脱ぎ散らかした女物の下着が、洗面台には見たことのない化粧品が並ぶ。


ドクン、ドクン、ドクン


鼓動はどんどん早くなっていく。


呼吸が苦しくなって、涙が出そうになった。


誰?誰?


頭の中で自問しても、答えは出てこなかった。


ここから逃げなきゃ。


そんな焦りが脳裏に浮かんだ所で、バスルームの扉が開いた。


「あ」


バスルームの中の女の人と目が合った。


知らない女の人だった。


スッピンを見ると、彼よりも年上の人みたいだった。


「あ」と思わず声が漏れ、彼女は床に置いてあったバスタオルを掴み取ると、再びバスルームの扉を閉めた。


何が起きたのかワケが解らなかった。


誰?会社の人?それとも、会社の先輩の付き合いで行ったキャバクラの人?それとも・・・他に私の知らないことがあるの?


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