恋じゃなくてもイイですか?
「何で?」
私の事を一番に考えてくれてたんじゃないの?
「何でっ!?」
最後は叫ぶように彼に迫っていた。
彼ははぁ~と面倒くさそうに溜息を吐くと、床に脱ぎ捨ててあったTシャツを拾い上げ、再びソファに座り直した。
Tシャツを着たところで、キィとリビングの扉が小さな音を立てて開いた。
振り返ると、さっきの女が立っていた。
「帰って来ちゃったんだ。例の彼女さん」
彼女は悪びれる様子もなく、無邪気に笑っていた。
長い髪をタオルで束ね、ちゃっかり私の部屋着を着ていた。
さっと私の前を横切って、寝室に入り、床に散らばった服の中から自分の服をピックアップし、ベッドのサイドテーブルに置いてあった自分にカバンを手に取ると、戻ってきた。
「ドライヤー借りるよ。化粧と着替え終わったら、勝手に帰るから。彼女さん、私、関係ないからね。彼に誘われただけだから、後は2人でどうぞ話合って下さいな」
そう言って、「じゃあね、また連絡する~」と私越しに彼に向かって手を振ると、リビングの扉を閉めた。
飄々をした態度に、開いた口が塞がらない。