恋じゃなくてもイイですか?
「解りました」
ハルニレくんはカップを私の前に置く。シュガーポットの蓋を取ると、「お砂糖はどれくらい?」と訊ねる。
「じゃあ、スプーン2杯で」
コーヒーは好きだけれど、甘いカフェオレしか飲めないのだ。
「解りました」ハルニレくんは微笑みながら、さらさらと私のカップに砂糖を入れる。
「ミルクはお好みで」と瓶に入ったミルクをそのまま添えた。「じゃあ、遠慮なく」と断って、ビニールを外す。
「僕はいつもブラックなんです」
自分のカップを持ちながら、ハルニレくんは向かいの席に座る。
しばし無言でコーヒーを啜った後、ふとテレビの棚に目を向ける。
「ハルニレくんは猫を飼ってるの?」
「飼ってるというか、ある日、庭に野良猫が迷い込んできたんです。ご飯をくれと言うので、あげたら、その日から居座ってしまって、何となく一緒にいる内にだんだん可愛くなってしまって・・・気付いたらすっかり猫好きになってしまいました」
そう言って、ハルニレくんは写真立てに入った猫の写真を、愛おしそうに眺めていた。
「その辺を散歩しているかもしれません。呼んでみましょうか?」
両手に包み込むように持っていたカップをテーブルに置き、ハルニレくんは腰を上げた。
ガラス戸を開けると、