恋じゃなくてもイイですか?


「香り付けでゴマ油を垂らして」


「ミーちゃん、何掻き混ぜてるんですか?」


「片栗粉だよ。どうせなら羽根つき餃子にしてみよう」


和気あいあいを2人してフライパンを覗き込む。こんな風に誰かと一緒に料理を作るって楽しいな、家庭科の調理実習を思い出す。


落し蓋を外して、フライ返しでパリパリになった羽根を端からつつき、一気に底を剥ぎ取る。皿に乗せられた餃子は、キレイなキツネ色に焼き上がっていた。


「おぉ~」


思わず同時に声が出る。


「すごいよ、いい感じ!お店の餃子みたいだよ」


「ちょっと感動しました。料理って楽しいですね」


ハルニレの顔にも笑顔が浮かんだ。取りあえず、大皿1枚分、25個の餃子を焼き上げて、残りは冷蔵庫に待機させ、お腹と相談することにした。


「さ、熱いうちに。早速、乾杯しよう!」


実は、ビールも冷やしてあるのだと冷蔵室を開けて、ハルニレに見せた。給料が出たばかりなので、これは私の奢りだ。


餃子を作り始める前に作り置きしていた、味噌マヨネーズでディップする野菜ステックと某焼肉チェーン店の秘伝のたれを混ぜたのみの簡単おつまみ、キャベツのざく切りも一緒に取り出す。


「家なのに居酒屋っぽいです」



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