恋じゃなくてもイイですか?
若干猫背気味で、歩く時は両手をズボンのポケットに突っ込む癖がある。
普段着もTシャツ、ロンT、トレーナーなど頭からすっぽりと被れて、少しダボっとした上着にウエストがゴムのスキニーを合わせることが多い。
ベルトとかジッパーの上からボタンを締めるジャケットとか、面倒くさいものは好まないらしい。
足元も、いつもサンダルか履きならしたスニーカーで、手抜きの時はビーサンだ。
全体から何とも言えないゆる~いオーラを醸し出しているハルニレ。
こんな緩い恰好をしていても、寝起きに妖怪アンテナが思い切り立っていようとも、何となく絵になってしまうのは、彼がアーティストだからだろうか?
ハルニレの持つ独特の雰囲気は、気の抜けた服装や表情を含めて、彼の魅力になっていると思う。
そんな不思議な男の子と、元学生寮だった古い物件に2人暮らし。
恋人でもない、友達でもない関係。
オーナーと住居人というのが今のところ一番、適切ではないだろうか?
「寝るなら、ちゃんと自分の部屋のベッドで寝てよね。この間、会社から帰って来て、ハルニレくんが廊下に転がってたの、本当びっくりしたから」
「フフ、そんなこともありました?そうですね、今日はちゃんとベッドで寝ます。あ、でも、2階の廊下の電気切れてたって言ってましたよね?替えないといけません」
「いつでもいいよ。住人私だけだし」
まったりとした朝の会話。ハルニレと話す時、時間はゆっくりと流れている気がする。