恋じゃなくてもイイですか?
「ミーちゃんが戻って来ました」
愛猫ミーちゃんを両手に掲げると、ハルニレはにっこりと笑った。
その後、ハルニレは見るからに汚れていて、茶トラの面影のないミーちゃんをお風呂場に連れて行った。お風呂嫌いのミーちゃんはシャワーを浴びるなり大暴れしたらしい。ハルニレの腕には格闘の末の引っ掻き傷が出来ていた。
タオルドライの後、食堂の窓や扉が全て閉まっていることを確認して、ハルニレがミーちゃんのために買って置いた高級缶詰を開けた。ミーちゃんはそれをがっついてる間、私はハルニレの傷の手当てをする。
「面影もなく、やつれたね。屋根の上を駆け昇って来た時、ミーちゃんだって気付かなかったよ」
血の滲んだ傷に向けて、消毒液を吹きかけると、沁みたのかハルニレは顔を顰めた。
ちらりとテレビの前に並ぶ、デブ猫ミーちゃんの写真と見比べる。
「明日、念のため動物病院に連れて行ってみます。なりより、帰って来てくれて安心しました」
ハルニレは餌を必死で貪るミーちゃんを愛しそうに見つめていた。
「良かったね」
「はい、良かったです」
ハルニレは私に向かって微笑んだ。
傷口に薬を塗って、絆創膏で応急処置をする。
「はい、出来た」