Mein Schatz
楓の仕打ちはこれだけではなかった。
上履きは隠されて、机を毎朝決まって教室の外に出されて。
体育の時はボールを香織に強く当てた。
「香織ちゃーん?あれー?一人ぼっち?暗い顔してるねぇ~」
なんて楓は笑いを押さえながら香織に話かけた。
香織はなにも言えなかった。
そして、
「さっさと消え失せろ」
と低い声で呟いて香織の腕をつねった。
(どうしよう…誰にも相談なんて出来ない…)
香織は常に楓に監視されているように見えた。
次第に学校に居場所がなくなっていった。
(もう行かなくてもいいかな…)