Mein Schatz
誰か
全てをお母さんに話すと
「うん、香織が行きたくないなら行かなくていいよ。」
とだけ言って泣いていた。
香織の自傷行為は止まらなかった。
楓の「さっさと消え失せろ」の言葉を思いだそうとしなくても聞こえてくるようだった。
聞こえてくるたび嘔吐と腹痛に悩まされた。夜も眠るのが怖くてたまらなかった。
(どうして私がこんな目に合わなきゃいけないの…)
香織の自傷行為は死ぬためにしているのではなかった。
香織が自傷行為をするたび目を真っ赤にする母を見て何もおもわなかったわけではない。
ただそれくらい辛いことに気づいてほしかっただけだった。