Mein Schatz
学校を休み始めて1ヶ月。
両親は香織に病院に行くことを勧めた。
最初は嫌がったが楽になれるならとしぶしぶ承諾した。
いろんな病名を言われてたくさん難しいことを言われた。たくさん薬が出た。
でも医者の言うことはどこかよそよそしくて聞く気にならなかった。
「あんた、また薬飲まなかったでしょ?」
「だってこれ飲むとフラフラするんだもん」
「飲まなきゃなおらないよー?」
(薬なんてただの気休めだよ…)
その時、香織には副作用が出ていた。フラフラしたり、手先が鈍くなって時には真っ直ぐ歩くことさえできなくなっていた。
(このままどうなるんだろう…)
大事な友達に裏切られて、暴力を振るわれて心も体も傷付いた香織に真正面から向き合ってくれる人がいなかった。
香織はどんな薬よりも信じて向き合える人を求めていた。