Mein Schatz

──夜


仕事が終わって、唯との約束に10分ほど遅れてbarについた。


カランカラン

「久し振り。」

「おう。」

膝上のワンピースとピンクのカーディガン。まっすぐな黒髪はいつからか明るい茶髪で巻いていた。

( 会わない間にずいぶん変わったなぁ)


俺の知っている唯じゃないみたいだった。


「で、話ってどうしたの?」


「あっえっと唯は俺と結婚とかしたいって思うん?」

ちょっと唐突だったのか、少しビックリしている。


「ん?それは直樹次第だと思うな。そりゃあたしは結婚したいなぁって思う時もあるけど、直樹があたしと結婚してマイナスになるならあたしは今のままでもいいよ?」


鈍感な俺でもわかった。

唯は無理している。だから唯の優しさが痛かった。

「だって、あたしには直樹が居てくれたらそれだけで幸せだもん。」

そう言って微笑む唯を見てどうしようもない気持ちになっていた。


(どうすればいいだろうか…)


その日は他愛のない話をして家に帰った。


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