Mein Schatz

~直樹side~



彼女と夏を楽しむことを心に決めてから、毎日はあっという間に過ぎていった。


彼女が笑うたび嬉しくなる。


そして、どんどん彼女の顔色は良くなって、表情豊かになっていった。


今がずっと続けばいいと心から思っていた。


でも、それは儚い願いでしかなかった。



彼女の退院が決まった。


俺はこれでよかったと自分に言い聞かせた。


俺がやるべき"医者"としての事をしたから彼女が元気になったんだ。




きっとこれから彼女には未来があるのだから、この夏はたった一瞬でしかないのだろう。


時々思い出していたくれたら、きっと俺の想いは報われる。


と思っていた。──
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