Mein Schatz
2章
あれから
~香織side~
──あの約束から1年
香織は桜舞い散る坂を学校に向かって歩いていた。
真っ直ぐな髪を少し巻いて、制服も上手く着こなせるようになっていた。
でも
心はそう簡単に変われないものなのかもしれない。
こんな暖かい春の日には先生のことばかり考えてしまう。
今日は高校二年生最初の日だというのに、思い出ばかりに気が向いてしまう。
(先生…どうしてるかな…)
あの日から一度も先生に会っていない。
でも、先生を想わない日は一度もなかったから…