Mein Schatz
一番大好きな人
──9月
夏休みを終わりまた学校が始まった。
あの日から啓太とは順調だった。
いや、時々啓太が寂しそうな顔をするようになった。
それを見るたび辛くなるけど、啓太は必死に堪えているのがわかるから何も言わなかった。
そして…
よく先生のことを思い出すようになった。
あの時、先生は何を思ったかな?
先生のことを思い出すたび、啓太に申し訳なく感じた。
…前の二人にはもう戻れないのかな?
杏花には話していない。
先生のことはなるべく考えたくないから。
(もうあたしは啓太がいれば大丈夫だから…)
本人に言えるほど、その想いに自信がなかった。