Mein Schatz


パチパチ…



秋の花火はなんだか淋しい気がしていたけど啓太はこちらを向いてはにかんでいた。



「なぁ、香織。香織は俺が好きか?」



「えっ…」



「俺は香織が大好きだよ。だから香織が彼女でいてくれることはこの上なく嬉しい。でも、香織が無理して俺の傍にいるのは辛い。香織はあの花火の日に会ったやつが好きなんだろ?」




「啓太…」




「正直に言えよ。ってか言ってくれ。責めたりなんかしないならさ。」





啓太…ごめんね…





「うん、あの人が好き…。」





「わかった。じゃあもうばいばいだな。」




「うん…」





「いままでありがとな。あと、俺のわがまま一個だけ聞いてくんない?」





「え?」




「別れても友達でいたい。だめか?」






「啓太が傷つかない?」




「俺は大丈夫だよ。」



「そっかぁ…いいよ。」




「じゃあ…恋人としてばいばいだな。」




「うん…」





「香織、こっちむいて?」





「え?」





ちゅっ




「いままでありがとな。」






「次会ったときから友達な!」





そう言って啓太は公園から出ていった。




啓太の目には涙がたまっていた。




(啓太…最後まで優しくて…ほんとにごめんね…)




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