Mein Schatz
──翌日、
「え!啓太と別れたの?」
「うん…」
「どっちがふったの?」
「あたしだよ…」
「え!なんでよ!なんであんなに優しい啓太をふったの?」
その理由はひとつしかない。
「まだ…先生が好きだから…」
ぱんっ
「ばか!啓太がどれだけ香織のことが好きかわかってんの?それを裏切ったんだよ?」
わかってる…わかってるよ。
あたしが啓太を傷付けたことくらいわかってる。
でも…
「わかってるよ。でも…だから啓太はあたしに答えを出させたんだと思う。」
「それってどうゆう意味?」
あたしは杏花に夏祭りの日のことを話した。
「何にも知らないのにいろいろ言ってごめんね。」
「ううん…悪いのはあたしなのはわかってるからさ。でも友達でいてほしいって言われたんだ。」
「そっか、会えない先生のことずっと想ってるのって辛くないの?」
「辛くない訳じゃないけど、自分の気持ちに嘘ついて好きじゃないフリしてるほうがよっぽど辛いよ。先生のこと思い出すたびに元気もらえるんだ。」
そう、先生はいつもあたしに元気をくれる。
辛いときこそ、迷ったときこそ先生はあたしを支えてくれた。
会わなくてもそれは変わらないことだから…
「そっか…あたしにはなにもできないけど話ぐらいならいつでも聞くよ?」
「うん、ありがとう。」
「あたしは香織に幸せになってほしいからさ!」
そう言って杏花は笑ってくれた。