私って、きれい?
「佐久間君、私って、きれい?」
……えっ?
お面の向こう側の恵子の目と目が合う。
その瞳は真剣だった。
「きれいだよ」って言われるのを望んで聞いたことなんだろうと思う。
けど、そんな目を見てしまったら、安易に「きれいだよ」って言えない。
僕は彼女の素顔を知らないのだから。
「……分からないよ。僕にはお面を被っているようにしか見えないから」
「……それも、そうね」
恵子はお面を取り始める。
案外、すんなりとお面を取ることに承諾したことに驚いた。
どんな姿なんだろうか。
僕はじっと恵子を見つめた。