死の神と一輪の花

第4話『今を生きる』



 授業中なんだか意識が遠のいていくような感覚に襲われた。
 しばらくするとその感覚は治まった。
 今日はホームルームが早く終わった。帰り道あの花の前に花は居た。

隼人: よっ!!
花乃: 隼人君今日は少し早いね
隼人: 今日はホームルームが早く終わったからな
花乃: よかった 今日は隼人君とちょっとだけ長く居られる
隼人: そんなの嬉しいのかよ?
花乃: うん!隼人君と話ししてると楽しい だって隼人君は私の初めてのお友達だから

 友達..何か新鮮な響きだ。そうか..花は今まで独りだった友達なんか居た事ないんだ..
 俺も友達なんて居た事がない..俺と同じ ずっと独りぼっちだったんだ..

隼人: 俺も同じだよ 初めての友達 それが花
花乃: 隼人君も独りだったんだ..何かごめんね..初めてのお友達が私みたいなので..
隼人: 初めての友達が花で良かったよ 
花乃: えっ?!

 驚いた様子で花は言った。

隼人: 俺も花と話すと楽しいんだ
花乃: ありがとう

 花は少しウルッとした目でそう言った。

隼人: なあちょっと寄り道しない?
花乃: 何処に?
隼人: ちょっとそこまで 時間大丈夫か?
花乃; 大丈夫だよ!!
隼人: じゃあ行くか

 と言うと自販機でジュースを買い、山の方に花を連れて行った。

隼人: ここだよ
花乃: わあーー!!綺麗ー!!
隼人: ここ俺のお気に入りの場所なんだ ここに来ると毎日の同じ繰り返しから少し抜け出せる気がしてさ
花乃: 隼人君ありがとう


 と言うと花は泣いていた。

隼人: ちょっ!!何で泣いてんだ?!
花乃: ごめんね..嬉しくてさ..人間ってこんなに楽しいんだね 私知らなかったよ..馬鹿だね私..
隼人: はっ..花は馬鹿じゃない!!お前が馬鹿なら俺は大馬鹿だっ!!
花乃: ふふっ 隼人君面白い

 俺達は、くだらない話しでしばらく盛り上がった。

隼人: もうこんな時間だ 帰るか
花乃: うん

 帰り際にいつもはそこに無い花を見つけた。あの花と同じ花だった、今度は二輪。
 『またお前か、ありがとな』
 そして山を降り花と別れた。

 人間ってこんなに楽しい..花はそう言った。でも今日の俺ならその意味も分かる気がした。
 こんな「いつも」だったら生きていてもいいかな。
 初めて生きたいと思った。そんな日になった。
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