たゆたうたたか。


「わざと、置いて行ってくれたのかな....」


本当にお腹が空いていたから嬉しくて。
すぐに柔らかいクレープを頬張る。イチゴがぎっしり詰まっていて、クリームもしつこくない。すっごく美味しい。


「今度会った時は、きちんとお礼しないと」


次いつ会うか何時に会うかそんなこと何ひとつ決めていないのに。
何故か彼とはまた、会える気がした。


定期入れを見つめる。


「名前、藤真(とうま)って呼ぶのかな....?」


藤真くん。
次はいつ会えるんだろう....?


私は貸してもらった定期入れを強く握り締め、さっきまで隣にいた藤真くんとの記憶を思い出してなんだかとても清々しい気持ちになった。
< 101 / 109 >

この作品をシェア

pagetop