たゆたうたたか。


ドアを開けると、そこには普通のマンションの一室とは到底思えないような光景が広がっていた。


「す、すごい....」


まるでおとぎ話に出てくるような、宮殿の中にある豪華なお部屋。
一瞬で夢でも見ているかのような不思議な感覚になってしまう。

これが、秘密の部屋....。


「びっくりした?さくらちゃん」
「ここが秘密の部屋。やばいっしょ?」

二人は何処か恥ずかしそうに、でも微笑みながら話しかけてくる。


「うん....なんかおとぎ話に出てくるお部屋みたい....」

「実は母さんがこういう部屋に一時期憧れててさ、その願いを父さんが叶えて一室だけリフォームしたんだよ。」

「今では引っ越しちゃったしお蔵入りみたいなものだけどねー?」

「あ、でも、なんで秘密の部屋なの?」

「俺達もさすがにこの部屋は使えないからお蔵入りにしてたんだけどさ、せっかく父さんが一生懸命考えた部屋だからどうにかして利用してあげたくて。
それでまあ気分転換したい時とか?誰か泊める時とか。そういう時に上手く有効利用していこうかってなったんだよ。」

「さすがに友達泊める時は勇気いりますけどね?」


た、たしかに....。
でもお母さんの気持ちも分かる気がする。
だってここ、本当におとぎ話に出てくるお部屋みたいで。
非現実な雰囲気を味わえるというか....。わくわくしちゃう。
< 52 / 109 >

この作品をシェア

pagetop