たゆたうたたか。


「いーえっ。せっかくだからお喋りしましょうよ。で?何が良いですか?」
「あ、じゃあ....ココアでっ」
「まじ?ココア美味しいよねー。俺も、だいすき」
「うん。甘くて、美味しい。」
「さすがさく姉、分かってますねぇ」


嬉しそうにそうにココアの粉をマグカップに入れる。
なんだか、可愛いなぁ。

実は私、楓くんがココア好きってこと知ってた。リビングで見てたもの。
せっかくお部屋に案内してもらったんだもん。
やっぱり楓くんの好きなものを一緒に飲んだ方が良いかなぁと思って。


「はい、どうぞ?」


甘く優しいココアの香りが、部屋全体を包む。
あぁ、なんかこういうの良いなぁ。


「わぁっ。ありがとうっ。いただきます!」
....うわぁ!
なにこれ!とっても柔らかい甘さと深み。美味しい!


「美味しいでしょ?このココア、専門店のやつなんですよ」
「うん、すっごく美味しい!楓くん、わざわざ注文してるの?」
「....いえ、....人から、もらったんです」
「....そ、そっかぁ....」


なんだか一瞬間が空いたような....気のせいかなぁ。
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