たゆたうたたか。

4.







「あれ、ここ、どこ?」


時刻は午後15時。

まだ慣れない道のりということもあるので、一通り家事を終わらせて早めにお夕飯の買い物に出掛けたのだけれども。


早速、また道に迷ったみたいです。


「やっぱり携帯の地図なんか当てにするんじゃなかった....。」


ただひたすら地図を見ながら歩いてきたから周りの景色なんて全く確認していなかった。
気が付けば登り坂のような道に出て来てしまい、そのまま登って行くと今度は山道のような場所に出て来てしまい、今に至った訳で。


「今日どれだけ迷ってるんだろう....」


ぐるぐると同じ道を歩いている気がする。
まるで私の今の心境みたい。だなんて馬鹿げたことを一瞬考えてしまった。


楓くんとの出来事は今はなんだか忘れてしまいたかった。寧ろ、このまま顔を合わせたくないくらいで。
でも同居させてもらってる以上そんなことは絶対に出来ない。....私って、なんて性格が悪い女なんだろう。

そんな気持ちをただ誤魔化したいだけなのかもしれない。
あの後、一気に家事を終わらせて何にも考えなくて良いようにお夕飯の買い物にも早く向かうようにして。何にも変わるはずが無いのに。


携帯を片手に、立ち尽くす。
あぁ。とりあえずこの迷路から抜けてから考えようかな。


そんな言い訳をして、
私はまた考えることから逃げるのだ。
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