♔タカラモノ♔
答えはまだ見つからない。
いや、見つかっているのかもしれないけどまだ認めない。
自分の気持ちに曖昧なままだ。
「図書委員は放課後集まるように」
「佳夜、どんまいっ!あたし部活だから手伝えないや」
「ううん、大丈夫だよ。舞、部活頑張ってね!」
図書委員の仕事はすごくめんどくさい。
「佳夜っ」
聞き覚えのある声だ。
あっ…晴だ!
「晴!どうしたの?」
「うーん。暇だな〜って」
「あははっ暇で図書室来る人はじめて見たよ」
「俺も初めてだわ」
静かな図書室に2人の笑い声が響く。
「この本、どこしまうの?」
「えっ…手伝ってくれるの?」
「手伝ってあげる」
「えっと、1番端っこの棚」
佳夜がそう言うと、積み重なっていた本をせっせか持っていく。
晴ってこんなに優しいんだ。
なんだか見とれちゃうな。
「あの、ありがとう。」
「なに改まってんのっ」
仲良くなればなるほど晴の良さがだんだんと見えてくる。
そんなに優しくされるとずっと押し殺してきた感情が飛び出しそうで、それをまた必死に堪えている。
晴はどう思ってるのかな。
あたしの気持ちを知ったらどうなっちゃうのかな。
この関係じゃいられなくなっちゃう気がして臆病になる。
怖いんだ。