♔タカラモノ♔
君の知らない顔
梅雨が明け、すっかり太陽の光が顔を出した。
そしてまた夏休みが近づく。
「なあ〜晴のことなんか知らん?」
昼休み、六組に来たのは晴といつも一緒にいる、神木君だった。
「神木くん、晴今日いないの?」
「うん。ここ最近学校来ないんだよ」
「…え。何かあったのかな」
そういえば、最近見かけない。
2組の近くを通っても晴はいなかった。
どうして?
何かあった?
いったい晴に何が起きてるの。
風邪か何かかな。
こんなにも心配で、こんなにも早く会いたいと思ったのは初めてだ。
家も知らない。電話も知らない。
仲良くなったのにあたしは晴のことを何も知らなかった。
今どこにいるの?
神木君によると、晴はたまに学校へ来るらしい。
休んだり来たり早退したり。
あの図書委員の仕事の日以来顔を見ていない。