ブルーローズ
微妙にドラマの宣伝が織り交ぜてあって、話しの軸がどこにあるのか良く分らない記事。

番宣狙いで出てくる記事なんてよくある話だから、過去の出来事について私がとやかく言うのもお門違いってヤツだと思うけれど。

この間、陽希の部屋で一緒にドラマを見ていた時、何か言ってくれればよかったのに。

……なんて、言うわけないか。

昔の彼女というよりも、いわゆる昔いたしちゃった女とドラマ共演中なんだ、なんて。


「今は何でもないから心配しないでね」とスマホの留守電に入っていた、陽希からのメッセージ。

それに対して「気にしてないよ」と、短いメールを送った私。

『今は』という言葉に何かモヤモヤッとするものの、このくらいのことで嫉妬深い年上の女なんて、ウザいと思われたくもない。

恋愛ベタな私ですらちょっとした出来事があるんだから、陽希みたいな男なら1つや2つ、いやいや3つや4つ、脛に傷もあるんだろう。

陽希の人気が出れば出るほど、こんな記事が増えているのも事実。噂話しでさえ、まことしやかに囁かれることもある、それは私だって分かっている。

でも。

この記事の所為で陽希とのプチ旅行が中止になったのは、今の私にとって更にイタイ出来事で。

その昔、女性誌で『癒しの高級旅館』を特集した時、いつの日か恋人とプライベートで行ってみたいと思った箱根の老舗高級旅館を、泣く泣くキャンセルしたのだ。

今このホテルで、気持ち良くリフレッシュさせてもらえるのは嬉しい。でも本当だったら今日はしっぽり温泉三昧の予定だった。

―― ハルと一緒に。
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