ブルーローズ
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―――
ちぃさんが用意してくれたのはスィートルームで、何て言うか……やたらと広い。

「ちぃさん、豪華過ぎ……」

「そう?」

部屋の真ん中で、素敵なシャンデリアのついた天井をあんぐりと口を開けてみる私に、何てことないないってお顔のちぃさん。

「ミッチーだって取材で、こういう部屋に入ったことあるでしょ」

「ちぃさん、取材と自分がお泊りするのは違うってば」

ちぃさんはテーブルの上にすでに用意されていたシャンパンの口を器用に開けた。
ポンッと景気の良い音がこの広い部屋に響く。

「ミッチー乾杯しよっか」

シュワシュワと泡立つ琥珀色の液体が私を呼んでいる。

ニンマリと笑みが漏れる。

もう、忘れよう。嫌なことも。
楽しまなきゃ損だ。


程無く見事なルームサービスがソファテーブルに並べられた。

堅苦しいのはイヤだから、と軽食を厳選して頼んでくれていたのだ。

私はシャンパンを飲みながら、うわっとかウマッとかそんな言葉ばかり。

美味しすぎて、感嘆の音しか出てこない。

なんて素敵な場所なんだろう。


……こんなに素敵なところ、やっぱりハルと来てみたい、かな。

たとえ今は無理でも。
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