あの日、君に伝えたかった
1
・・・ここは、どこ?
私、どうしてここにいるんだっけ?
記憶を巻き戻してみる。
あぁ、そうだ。
いつも通り、学校から家に帰ろうとしていたんだ。
家までの道を歩いていて、ふと意識が遠のいて。
気が付いたら、ここにいたんだ。
「あれ?気が付きましたか?」
真面目そうな声が、どこからか聞こえてくる。
でも室内は暗くて、何がどこにあるかわからない。
時々、ガシャ・・・ガシャ・・・と金属音もする。
下手に動かない方が良いよね?
「おはようございます、メイさん。
手荒な真似をしてごめんなさい。
お怪我はありませんか?」
「・・・あなた、誰?」
「ボクですか?ボクはですね・・・」
少しの沈黙の後、彼は話し始めた。
「勝手に名付けてもらっても構いませんよ?」
って言われてもなぁ・・・。
「本当に名付けても良いの?」
「どうぞ、ご自由に名前をつけてください、メイさん」
< 1 / 49 >