あの日、君に伝えたかった
「夜斗、私のこといつから好きなの?」
昔から、と言う表現を使ったんだ。
少なくとも、ここ数か月の話ではないはずだ。
「昔からですよ、昔から」
「え?
答えてくれないの?」
「いつかお話しますから」
ふっと優しく笑った夜斗は、私を再びお姫様抱っこした。
「少し揺れますよ」
「どこ行くの?」
「先ほどの倉庫へ戻ります」
「でも暗いよ?
今何時ぐらいなの?」
私が聞くと、夜斗は腕に付けていた時計を見た。
黒くていかにも高そうな時計だ。
「今夜の2時ですね」
「丑三つ時丁度ってこと?
私、あんまり眠くないんだけど?」
「それは先ほどまで寝ていたからでしょう?」
あ、そうか。
私が納得したところで、夜斗が歩き出す。
森の中なので、勿論だが道はない。
電灯もない。
木々や葉っぱがあらゆる地面に落ちていて、転ぶこともあるだろう。