あの日、君に伝えたかった
★メイside★
夢を見た。
幼いころの夢。
両親が、まだ私に優しかったころ。
いや・・・その表現は可笑しいかな。
だって昔も今も、両親は“私”を見ていない。
見ているのは、“イイコの私”。
“イイコ”ではない私は見てくれていなかった。
両親が気にするのは、私の成績と世間からの評判のみ。
私という人間は一度も見たことがないだろう。
だから勉強をやめ、“イイコ”をやめたとき、両親は私を見捨てた。
私は、家にいる役に立たない人形と同じだった。
物心ついた時から勉強漬けの毎日だった私。
幼稚園とか小学校も名門の進学校だったから、周りも私と同じ勉強漬けの子ばかり。
これが“普通”だと思っていた。
もっと早くに“普通”ではないと気が付いていたら、私は孤独じゃなかったのに。
私はただ頭が良いと言う理由だけで学校に通っていたので、学校への行き帰りは周りの子と違い、徒歩で行っていた。