あの日、君に伝えたかった
家に帰ると、パパが仁王立ちして玄関にいた。
「遅かったな、メイ。
何をしていた?」
「聞いてくださいよあなた。
メイってば、汚くて気味悪い子と話していたのよ。
2人であの煙草屋の屋根の下で。
勉強もせずにね」
「なんということだ・・・メイ!
ちゃんと勉強しなくちゃ駄目だろう!?
槇野の名を汚さないよう生きろって、何度言ったらわかるんだ!」
「ご、ごめんなさい・・・」
「メイは槇野家最後の跡取り娘だ。
槇野の血を絶やさないよう生きろ。
それがメイの人生の目標だ。
結婚も、そんな奴ではなく、別のお金持ちと結婚しろ」
私、夜斗と生きたいのに・・・。
あの数分間で、私は夜斗が大好きになっていたのだ。
本当、恋と言うものはわからない。
「その辺で怒るのはやめてくださる?
明日は全国小学生一斉テストの日です。
メイには1位を取ってもらわないと」
「そうだな。
じゃあメイ、勉強しなさい。
槇野家を汚さない結果を残すんだぞ」
「・・・はい」
私は部屋へ向かい、ノートと教科書を開いた。
勉強しなくちゃな・・・。
しかし、すぐに集中力は切れた。
夜斗に、会いたい・・・。