あの日、君に伝えたかった
ボクのことなんて、誰も気にしなくなった。
兄さんは、学校で1番人気。
兄さんの言うことは絶対。
兄さんはボクのない噂を広め、ボクを孤立させた。
教師もクラスメイトも、兄さんを信じた。
兄さんが嘘つくはずないから。
ある日、ボクが帰る途中。
近くの高校から出てきた人影。
「・・・メイさん・・・・?」
忘れるはずがない、ボクの恩人。
でも、歩くメイさんは、凄く哀しそうだった。
ボクはこっそり後をつけた。
メイさんはある一軒の家の前で立ち止まった。
槇野と表札に書かれているから、メイさんの家なんだ。
しかしメイさんは一向に入ろうとしない。
どうしてだろう・・・?
ボクの疑問はすぐに消えた。
向こうからやってきた女の人。
覚えている。
メイさんのお母さんだ。