あの日、君に伝えたかった




「・・・ッ」

「てめぇ、俺のこと見下すのも良い加減にしろよな?
跡取りから外されたくせによぉ・・・」



ボクは兄さんが投げてきた紙を拾った。

紙の内容は、この間の全国高校生一斉テストの結果。


【1位 成宮遼明

 2位 成宮遼光】



「何でてめぇが1位なんだよっ!」

「し、知りませんよ・・・」

「俺の方が兄貴だぞ!
その前に、俺は正式な成宮の息子。
なんでよそ者のお前が1位なんだよ!」

「ご、ごめんなさい・・・」



これでも手加減したんだ。

本当は全ての問題の答えがわかったけど、兄さんが1位になれるため、わざと答えを間違ったり、空白にしたりしたんだ。

それなのに・・・どうして・・・。



「次こそ俺が1位だからな?」

「は・・・はい」

「何しているのよー?」


騒ぎを聞いた母さんが入ってくる。



「ごめんなさいお母さん。
うるさくしてしまいましたね。

でも、メイが僕に言うんですよ。
どうして2位なんだって。
俺に勝ってみろってね」

「そんなこと言ったの?
いけませんよ遼明。
遼光は頑張っているんです。
頑張っている人を馬鹿にしてはいけません!」







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