あの日、君に伝えたかった




「ねぇ、この金属音、何かしら?」

「ご自分の右手首を見てください」


言われた通り、右手首を見る。

私の右手首には、夜斗の左手首についている銀色の腕輪と同じものがついていた。

よく見ると、右手首の腕輪には、太くて頑丈そうな鎖がついていた。

鎖は右腕を振る度に揺れ、その揺れは、夜斗の腕輪に繋がっていた。


「何、これ・・・」


多分これ、手錠だ。



「お似合いですよ、メイさん。
本当にあなたは美しい。
あの太陽や青空さえも色褪せてしまうほど」


普通に言われたら嬉しい台詞かもしれないが、この状態からしてみれば、ただの変態の台詞にしか聞こえない。



「美しいメイさん、ボクはあなたを離しません」

「よ、夜斗・・・」

「何もありませんが、ゆっくりしてください。
その腕輪、外しますから。

何もないこの部屋ですが、暇つぶし程度にはなるでしょう。

夜ご飯の時にお呼びしますから、それまで自由にしておいてください」

「ちょっと待って、冗談でしょう!?
あなた、人を監禁して、何も思わないわけ?
こんなの犯罪よ?」

「ボクはあなたのためなら、犯罪を犯すことに抵抗は微塵もありません。
あなたが死ぬと言う方が、ボクには辛いことです」


夜斗は蝋燭を床に置いて、また暗闇の中に消えて行った。




じょ・・・冗談じゃないわよ。

どうして私がこんな目に?



私は蝋燭を持ち、歩いた。






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