あの日、君に伝えたかった
「成宮遼明のことですか?」
「ちげぇよ。
こいつがまだ、嬢ちゃんに会う前の本名だ」
夜斗と出会う前の、名前・・・。
「こいつは戸籍がありゃあ、桜田門奈絃(さくらだもん・ないと)になっていたんだぞ」
桜田門奈絃!?
なんか、凄い名前だな・・・。
「気にしないで良いですよ、メイさん。
その名前は、もう無いも同然ですから」
そっか・・・。
“戸籍があったら”の名前だものね。
「ナイトの本名をこいつの父親から聞いてな。
世間にも知らされていねぇから、こいつのコードネームにしたんだ」
そうだったんだ・・・。
「メイさん」
「ん?」
「ボクは確かに桜田門奈絃であって、成宮遼明です。
でも、ボクが名乗るのは夜斗です。
あなたからもらった名前が、ボクの本名です」
夜斗・・・。
「だーいすき!」
「っと、ととっ」
いきなり抱きついたから、夜斗は驚いていた。
でも、すぐに優しく笑った。
大好きだよ。
奈絃も、遼明も、夜斗も。