あの日、君に伝えたかった
「ところでボス」
「ん?」
「ボスは1度、あの扉を開けましたか?」
夜斗が言っているのは、前に扉が大きな音を立てて開いた時のことを言っているんだ。
2回目の音の時開けたのがボスさんだから、1回目もきっとそうだろう。
「は?開けてないぞ。
おれっちが開けたのは、今さっきの1回だけだ」
「え!?」
じゃあ、一番最初の音を立てた主は誰なのだろう?
「夜斗ぉ・・・」
「この場所を買ったことを知るのはおじさんだけです」
「じゃあ、そのおじさんが!?」
「いえ、おじさんは違うと思います。
おじさんはボクがメイさんを閉じ込めることをご存知ですから」
「な・・・何で知っているの?」
「実はおじさんも昔、ここに好きな人を閉じ込めたことがあるんです。
ボクが倉庫を欲しいと申し出たら、おじさんはすぐに自分と同じことをするんだと考えたそうで。
それを承知の上でボクにこの倉庫と森をくれましたから」
夜斗の親戚、怖いことするな。
まぁ良いんだけどね。
「おじさんが閉じ込めた人、最後どうなったの?」
「おじさんの奥様になっています」
あ・・・そうなんだ。
良かったんじゃない?ハッピーエンドで。
「夜斗、そのほかに知る人はいないの?」