あの日、君に伝えたかった
よく見ると、部屋の中には色々あった。
テレビ、コンポ、ゲームも殆ど揃っている。
DVDも種類が沢山ある。
何もないなんて、嘘じゃないの。
私は床に積み重なっていた漫画を読み始める。
私が好みの漫画だらけ。
だから、凄く面白い。
漫画はとても綺麗に使われていたが、全ての漫画の最後のページに名前らしきものが書いてあった。
【よると】
平仮名で書かれた、その名前。
【よると】の横には、漢字らしきもので名前が書かれているが、全て太い二重線で消されていて、何が書いてあったのか、読解不可能になっていた。
DVDもゲームも、私が好きなモノばかり。
だけど、全てに【よると】と横には太い二重線が書かれていた。
どういう意味なのだろう・・・。
この消された二重線の下には、何が書かれているのだろう。
部屋は広く、整頓させられていた。
壁にボタンがあり、押してみると、灯が点いた。
蝋燭は不要になったので、吹き消した。
ふと見ると、頑丈な扉があった。
近寄ると、頑丈そうな先ほどの腕輪よりも太い鎖が取り付けられていた。
鍵穴は意外に小さくて、思わず笑う。
押したり引いたりしてみるが、びくともしない。
「どうされました?」
突然扉が開き、夜斗が顔を出した。