容疑者はヒトリ。
プロローグ
今朝はいつもより早く目が覚めた。
そしていつもより早く朝食を食べ
電車に乗り込む。
満員電車は相変わらず鬱陶しかったが
今日はそれさえ心地いいのだ。
新しい1日が始まる。
『本日より、品川署に配属されました、和田信五です。よろしくお願いします!』
和田信五36歳。
刑事になって、かれこれ11年目である。
自分で言うのも気が引けるが
俺の長所は勘のいいところだ。
いや、言い換えよう。
これは自分の短所でもある。
俺は勘が良すぎる。そして自分の勘こそが正しいと思っている。
そのせいで―――
俺は未だに所謂のままなのだ。