擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
教師と生徒の基礎
モスグリーン色をした黒板に白い粉を落としながら数式を書き出して、説明を加えながら解を導き出す。
「テストに出すからね」と黄色い下線を引っ張って振り返ると、聞いているのかいないのか、既に筆記具を片付け始めてそわそわと落ち着かない生徒達。
そうか、もうすぐ本日最終の授業が終わる。
腕時計を確認し、チョークを置いて教科書を閉じると、その音に反応した生徒達が顔を上げて目を輝かす。
「それじゃあ、今日はここまで」
日直が立って挨拶をすると生徒達もそれに倣い、頭を下げてチャイムが鳴るや何人かが教室を飛び出して行った。
「雅ちゃん、ばいばーい」
「芹沢先生、さようならでしょ!」
女子生徒の集団が私の前を賑やかに通り過ぎて行ったけど、私の指摘が聞こえたのか定かではない。
小さく溜息を吐き、生徒がまばらになった教室を一瞥してから教科書や出席簿を胸に抱いて、職員室に戻った。
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