擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


「まぁ、そんなに言うなら帰ろうかな」

結城君は立ち上がって着替えをしたブースの方に向かって行く。

その間にも女子達が集まって来たけど上手くあしらいながら歩いて行く背中が見えたので、無事着替えて帰れる事だろう。

自分から帰ると行ってくれたのだから、これ以上世話を焼いて引き止めるようなこともしたくなかった。


皐月の言う通り、結城君は私の好きなことに否定をするどころか、こんな服を作れるのはすごいと褒めてくれた。

面白がってはいるものの、私の事を一度も貶したりしなかったな。


「あのー、すみません」

大きな一眼レフカメラを首にぶら下げたチェックシャツをインした小太りの男の人がおずおずと話しかけて来た。

「写真撮影いいですか?」

「あ、いいですよ」

背負っているリュックに私がコスプレしているキャラクターのキーホルダーがぶら下がっていた。

少し沈んだ気持ちを無理矢理急上昇させて、キャラクターお決まりのポーズをいくつか取ると、男の人は喜んでくれて、色々なアングルからシャッターを切る。


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