擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


でも、段々と下からのアングルが増えているように感じて、スカートの中が見えてしまわないか不安になってきた。

あからさまにいかがわしい撮影の仕方はルール違反で、参加者もそれはわかっているし嗜めることもできるのだけど、この人がそういう嫌らしい事を考えているのか判断がつかなかった。

「ねぇ、ここはいつからエロ親父の撮影会になったの?」

私の後ろから結城君の低い声が聞こえてきたかと思うと、私の横を通り過ぎてしゃがみ込んでいた男の人の前に立ちはだかった。

男の人はおどおどと目を泳がせながら、立ち上がり、踵を返したが結城君の手によってリュックを引っ張られて後ろに引っ繰り返りそうになる。

「写真、全部消せ」

「な、なんでそんな事しなきゃならないんだよ。コスプレイヤーの撮影は相手の許可があれば問題ないだろ」

「じゃあ、見せろよ。まともな写真ならな」

男の人はカメラを手で守るように大事そうに抱えながら、結城君を懸命に睨みつけている。

「見せられないなら、今ここで消せ。じゃなければ、その高そうなカメラ壊すぞ」

「わ、わかったよ!消せばいいんだろ!」

男の人は慌ててカメラの操作をすると、これでいいだろ!と結城君にカメラの画面を見せて、結城君がリュックから手を離すと、転びそうになりながら男の人は駆け出して行った。


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