擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「結城君、帰ったんじゃ・・・?」
男の人が去って行った方向に体を向けたままの結城君の背中に訊ねた。
「着替え終わって出てきたら、趣味の悪い撮影会が見えたんで、それも先生の趣味なのかと思って興味湧いたから様子見に来たんだけど、続けたかった?」
振り返った結城君の表情は冷たくて、思わず後退りした。
「そんなわけ、ない」
「どうだかね」
クスッと小馬鹿にしたように笑って私の横を通り過ぎようとするので、結城君の腕を掴んだ。
「助けてくれて、ありがとう」
半信半疑だったけど、男の人の違和感は気持ち悪くて、向けられたカメラから逃げ出したかった。
それに気づいてくれたと思うのは過信しているかもしれないけど、状況がはっきりと理解できた今、後から体が小刻みに震えた。