擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「分かってくれる人はいないって知ってるから、今のは先生も聞き流しといて」
これって、私が思ってることと同じかもしれないんじゃないか、と思ってしまった。
コスプレすることを分かってくれる人なんていない。
だから、誰にも話さない。
結城君が擬態化するようになったのは、今までの環境が結城君にそうさせてしまったのかもしれない。
私が擬態化するようになったのも、あるきっかけがあったからだ。
本当の自分を見せるのが怖くて、理想のキャラクターを演じるようになった。
「先生が無理してまで関係ない衣装作ったり、顧問でもない部活に入れ込んだり、隠してまでやりたい趣味って何なんだろうって、どんどん興味が湧いてくる。俺と何が違うんだろーって」
純粋な好奇心が歪んで嫌がらせのようになってしまうのなら、結城君は相当な天邪鬼だ。
「私の事、知りたいと思ってくれてるのかな」
自分で言って気恥ずかしくなったが、結城君は納得したような顔をした。