擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


「あー、と・・・芹沢?」

密かにカーディガン救出を続けていると、久しぶりに聞く私の苗字の呼び捨て。

少し高めの男の声に、大学の時の知り合いだろうか、などと予想を立てながら振り向き、息が止まった。

「あ、やっぱり。芹沢だ」

「さ、くま先輩・・・」

詰まった息が、変なところで先輩の名前を切ってしまい、動揺が少しも隠せていないことに気付いた。


会うのは中学を卒業して以来。

久しぶりに会った佐久間先輩は、あの時よりも更に身長が伸びているように思えた。

長めだった髪の毛は爽やかな短髪に切られ、ストライプ柄が入った黒のスーツも良く似合っている。

すっかり大人の魅力を見にまとった佐久間先輩だけど、笑った顔はあどけない少年っぽさが残る。

大人になっている先輩に対して、唯一、中学生の時と変わらないな、と思ったところ。


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