擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「久しぶりだなぁ。見事な滑り込みしたなーって見たら見覚えある気がして。芹沢?ってちょっと半信半疑だったけど、当たり」
私のこと、覚えていてくれた・・・。
私にとっての先輩は初恋の相手であり、初めての失恋の相手でもあるけど、先輩にとっての私はバスケ部のマネージャーという枠組みを越えない存在でしかないと思っていたから。
名前まで覚えていてくれたことは正直、驚いたし、素直に嬉しいと思えた。
「み、見てたんですか」
「だって、すごい勢いだったから。遅刻?」
「多分、もう大丈夫です」
どうしても、私は佐久間先輩の顔を見ることが出来ず、視線が先輩の周りをさまよってしまう。
遠い過去のことなのに、こうして真っ先に告白の事を思い出してしまうのは、最近結城君に話したばかりだから、ということにしたい。